Research

社長

当研究室では、糖脂質代謝異常、顎顔面領域疾患、および老化・加齢変化という3つのキーワードを軸に、それぞれの疾患、変化に対する関連性を細胞やマウスを用い、分子生物学的手法で明らかにして行こうと考えています。また、その実験結果を踏まえ、上記疾患の予防・治療法の開発も積極的に行って行く予定です。口腔領域のターゲットにしている組織は、主に唾液腺および歯周組織です。


1.糖脂質代謝異常とシェーグレン症候群

シェーグレン症候群は涙腺や唾液腺を標的臓器とし、ドライアイ、ドライマウスを主な症状とする自己免疫疾患です。臨床研究では、上記2つの疾患の関連性を示唆する報告がありますが、その分子メカニズムはほぼ明らかになっておりません。これまでに我々は、2型糖尿病や肥満により血中で増加する、飽和脂肪酸の一つであるパルミチン酸が、唾液腺上皮細胞に対して炎症反応やアポトーシス反応を誘導する事を報告しております(J Dent Res 2013)。この結果を踏まえ、徳島大学口腔分子病態学分野の石丸直澄教授にご協力いただき、シェーグレン症候群モデルマウスを用いて、in vivoでこれら疾患の関連性を解析しています。


2. 唾液腺および歯周組織の加齢的変化に対する糖脂質代謝異常の関連性と老化マーカーの検討

人は年齢を重ねるにつれて、様々な疾患を患います。例えば、加齢に伴うドライマウスが、単純に唾液腺の老化より起こるのか、その人が合併している疾患が唾液腺組織に影響しドライマウス症状が出るのか、そのメカニズムはほとんど明らかになっていません。本研究では、まず国立長寿医療研究センターの実験動物管理室が飼育する老齢マウスを用い、これら組織の加齢変化は組織全体が一様に老化するのか、もしくは組織老化のkeyになる細胞集団が存在するか、老化マーカー発現等を用い解析します。また、これらに対する糖脂質代謝異常の影響を in vivoで検討する予定です。